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<はじめての旋盤加工> これだけは知っておきたいポイント


1. 旋盤加工を「体験」する前に

旋盤加工と聞いて、金属が削られ、火花が飛ぶ迫力ある現場を想像するかもしれません。しかし、実際の現場では「思っていたよりも細やかな作業が多い」「安全確認や準備がたくさんある」というギャップを感じる人も少なくありません。

まず最も重要なのは**「安全」を最優先に行動する**ことです。精密でパワフルな機械を扱うため、油断や慣れが命取りになることもあります。

身だしなみと体調管理の基本
  • 作業着の袖や裾をたくし上げない。ゆるい服装やアクセサリー類も避けましょう。

  • 長い髪はしっかりまとめる。

  • 眼鏡やフェイスシールド、手袋などの保護具を必ず着用する。

  • 疲れていると感じたら無理をせず、上司や周囲に伝えましょう。集中力が落ちている時はミスや事故が起こりやすいものです。


2. 「最初の一歩」でよくある失敗とその対策

誰もが初めての作業で失敗を経験します。大切なのは、その失敗から学び、次につなげることです。

初心者がやりがちなミス
  • 手順書や作業指示をしっかり読まない

    「大丈夫だろう」という思い込みが、ミスを引き起こす大きな要因です。

  • 切削条件や回転数の設定間違い

  • 測定や材料チェックの手抜き

    「面倒」と思いがちな作業ですが、素材の表面をきれいにしたり、測定前に工具が動いていないことを確認したりといった地味な作業が非常に重要です。

失敗を減らすための対策
  • 焦らず、手順ごとにチェックを徹底しましょう。

  • 五感(音・振動・におい)を使った1分点検など、先輩がやっている確認作業を真似してみましょう。

  • 慣れないうちは、作業工程の**「手前」で必ずチェックする癖**をつけましょう。


3. ステンレス素材の“初心者注意ポイント”

旋盤加工では様々な金属素材を扱いますが、初心者にとってステンレスは特に注意が必要な素材です。

  • 硬さ: 通常の鉄やアルミに比べて工具の切れが悪く感じます。無理な力を加えると工具が消耗したり、折れたりする原因になります。ゆっくり慎重に操作しましょう。

  • 滑りやすさ: 表面がツルツルしているため、固定が甘いとワークがズレたり、飛び出したりする危険があります。固定は二重、三重に確認してください。

  • 熱を持ちやすい: 加工速度や切削条件によっては、ワークや工具がかなり熱くなります。火傷を防ぐため、耐熱手袋を着用するか、一呼吸おいてから取り扱いましょう。


4. “うっかり事故”を防ぐ安全のチェックリスト

ちょっとした油断や確認不足が大きな事故につながりかねません。以下のチェックリストを毎回実践し、危険を遠ざけましょう。

(1)作業開始前
  • 刃物や工具の取り付け状態は大丈夫か?

  • ガード(安全カバー)はきちんと閉まっているか?

  • 緊急停止ボタンの位置は確認したか?

(2)加工中
  • 普段と違う音や振動、焦げたにおいはしないか?

  • 異常があれば即停止。

  • 回転体が完全に止まる前に、絶対に手を近づけない。

(3)作業終了後
  • 機械の主電源を切ったか?

  • 切粉や粉塵の清掃は隅々まで行ったか?

  • 工具の状態を点検し、異常があればすぐに報告・記録する。


5. 「思った通りにいかなかった…」ときの相談先・リカバリー

初めての加工で完璧を目指す必要はありません。失敗した時は、どう「次につなげるか」が大切です。

  • 失敗したパーツは独断で処理せず、必ず先輩や上司に報告しましょう。「怒られそう…」と思うかもしれませんが、隠す方が後々大きな問題に発展します。

  • 報告する際は、「なぜ失敗したか」「どんな点で困ったか」も伝えましょう。より適切なアドバイスがもらえます。

  • 「なんでこうなったのか分からない」と思ったら、作業メモや日誌に簡単に経過を書き残す習慣をつけましょう。


6. まとめ ― 楽しく、安全に、実力アップ!

旋盤加工の最初の一歩は大きなチャレンジです。しかし、**「振り返り」「疑問を残さず相談」「小さな進歩を喜ぶ」**ことで、どんな技術も少しずつ自分のものになっていきます。

ものづくりの現場は、自分の成長を実感できる場所です。加工品が完成した時の達成感を味わいながら、安全を最優先に、次のチャレンジに胸を膨らませてください。

 

<機械加工 旋盤の過去ブログ>

【旋盤加工の基礎】機械加工における基礎知識の再確認

旋盤技術が支える製品の裏側