コスト削減と品質向上を両立する曲げ加工とベンダー活用法
はじめに
製造業において 「コスト削減」と「品質向上」 は常に求められるテーマです。
特に板金加工では、曲げ加工工程 がその両方に大きく関わります。
本記事では、曲げ加工とベンダー設備の効果的な活用方法に焦点を当て、
コストを抑えながら品質を高めるための実践的なポイント を解説します。
曲げ加工の基礎知識
曲げ加工とは
金属板材を指定の角度・形状に折り曲げる加工方法です。
建築部品、電子機器筐体、自動車部品など、
多様な分野で不可欠な加工技術 となっています。
ベンダーの種類と特徴
曲げ加工を行うための専用機械「ベンダー」には、主に次の種類があります。
メカニカルプレスブレーキ:構造がシンプルでコストを抑えやすい
油圧プレスブレーキ:厚板加工に強く、強力な圧力を発揮
サーボ電動プレスブレーキ:高精度・省エネルギー・静音性に優れる
CNCプレスブレーキ:コンピューター制御により、複雑形状も高精度加工が可能
コスト削減のためのベンダー活用法
1. 適切なベンダー選定によるコスト最適化
過剰な設備投資や性能不足の機械は、どちらもコスト増につながります。
「今の生産ニーズに最適な設備」 を選ぶことが肝心です。
ポイント
生産量・精度・素材を総合的に考慮する
将来の拡張も見据えた投資計画
中古機活用による初期コスト抑制
2. 段取り時間の短縮
製品切替時の段取り替えは大きなムダです。
CNC制御機ではプログラム呼び出しで時間短縮が可能 です。
改善のヒント
類似製品をグループ化して連続生産
クイックチェンジ金型システム導入
操作マニュアル整備と教育徹底
3. 材料歩留まりの改善
CAD連携により、材料取りを最適化すればムダを削減できます。
歩留まり向上策
ネスティングソフトの活用
複数製品の同時加工
廃材の再利用
4. 消費電力の削減
サーボ電動式ベンダーなら最大50%の電力削減 が可能。
省エネは長期的に見れば大きなコストメリットになります。
省エネポイント
非稼働時の自動電源オフ
定期メンテナンスで効率維持
生産計画でピークカット
品質向上のためのベンダー活用法
1. 設定最適化による高精度加工
スプリングバック(戻り現象)を抑えるには、
材料特性に合わせたベンディング設定 が重要です。
ポイント
金型選定・クリアランス調整
ベンディングフォースの最適化
温度変化への補正対応
2. CAD/CAMとの連携強化
CADデータから直接加工プログラムを生成すれば、
ミスを減らし、一貫した品質 を確保できます。
実践方法
3Dデータで曲げシミュレーション
オフラインプログラミングで稼働率向上
設計段階で製造性を考慮
3. 品質管理システムの導入
データ管理による品質の見える化 が重要です。
導入のポイント
加工条件の標準化・データベース化
定期測定とトレンド分析
SPCによる異常の早期検出
4. オペレーター技術の向上
高性能設備×人の技術力=最高品質
これが品質向上の鍵です。
技術力向上策
定期的な技術研修
メーカー研修の活用
熟練工のノウハウ継承
コスト削減と品質向上を両立させる具体戦略
自動化による効率化
バックゲージ自動調整
ロボット搬送・無人運転の導入
予防保全の実施
計画的なメンテナンスで故障防止
部品交換の定期化・状態監視
複合加工の推進
曲げ+レーザー+パンチングの一貫化
工程短縮と精度向上の両立
シミュレーション技術の活用
スプリングバックの事前予測
干渉チェックによる金型最適化
導入事例と効果
事例①:自動車部品製造業 A社
段取り時間:65%削減
材料歩留まり:8%向上
不良率:2.3% → 0.5%
年間コスト削減効果:約1,500万円
事例②:電子機器筐体メーカー B社
電力消費:42%削減
稼働率:78% → 92%
手直し工数:75%削減
投資回収期間:2.3年
まとめ
曲げ加工において、コスト削減と品質向上は相反するものではありません。
最適なベンダー選定と運用管理により、両立は十分可能です。
株式会社ファイネスでは、
ステンレスを中心とした板金加工・機械加工・装置組立を自社一貫体制で行い、
品質・納期・コストの三拍子そろった最適ソリューションを提供しています。
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