ステンレスのレーザー加工とは?〜基本から最新技術・事例まで徹底解説〜
はじめに
ものづくりの現場で重要な役割を果たす「ステンレス」。その美しさと堅牢さは、日常生活から先端産業まで幅広く活躍しています。
そして、そんなステンレス加工の分野で今、注目を集めているのが「レーザー加工技術」です。
本記事では、レーザー加工の基本原理から、各種ステンレス素材の特徴、当社での加工事例、技術選定のポイントまで、現場のプロの視点でわかりやすくご紹介します。
レーザー加工の基本概念
レーザー加工の原理
レーザー加工とは、高出力のレーザー光をレンズで集光させ、金属などの素材に照射することで、局所的に高温(数千℃〜一万℃以上!)となる熱エネルギーで溶断・穴あけ・溶接などを行う技術です。
レーザーの原理をイメージで理解!
レーザー光は、まるで「強力な懐中電灯の光を一点にギュッと集めて木を瞬時に焦がす」ようなものです。
しかしレーザーはさらに波長やビームサイズをコントロール可能で、正確な位置に必要なだけ熱を与えられるのが大きな特徴です。
レーザー加工の種類
切断(カット):板金材料の不要部を焼き切って除去
穴あけ:ミリ単位からミクロン単位まで対応可能
刻印:表面へのマーキングやロゴ入れ
その他応用:溶接や肉盛りなど多彩な加工も可能です。
加工プロセスの流れ(図解例)
設計/図面作成:CADで加工データを作成
材料セット:指定板厚のステンレスを装置に固定
加工条件設定:レーザー出力・速度、アシストガス種類を選択
レーザー照射・加工:自動運転で高精度カットまたは穴あけ
仕上げ・検査:切断面のバリ除去や目視検査
※実際の図解は本ページ下部または資料でご覧いただけます。
技術の進化と影響
初期は手作業やプレス+切削加工が主流でしたが、レーザー加工の進化により、**高精度化・高速化・省人化(自動化)**が大きく進展しました。
進化のポイント
ファイバーレーザーの登場:金属加工に最適。微細ビームで高速・高精度加工が可能
非接触加工:工具摩耗がゼロでランニングコストが大幅に低減
IoT・自動化:加工条件の自動最適化や品質記録も容易
→ 結果として、多品種・小ロットから大量生産まで幅広く対応可能となりました。
ステンレスの特徴とその利点
ステンレスの物理的特性
鉄にクロム・ニッケルなどを加えて作られた金属素材で、**「サビにくい」「熱や薬品に強い」「加工しやすい」**など多くの利点があります。
主な特徴
耐食性:空気や水に触れても酸化被膜が再生
強度・耐熱性:高温下でも強度を保持(特にSUS310、SUS316)
衛生的:表面がなめらかで汚れが付きにくく、食品・医療分野で重宝
加工における可能性
ステンレスは加工硬化により工具摩耗やヒートクラックの心配がありますが、レーザー加工なら非接触で高速カット・微細加工も自在です。
複雑な曲線・細穴加工・複数工程の一貫生産にも対応可能で、未来のものづくりを可能にします。
ステンレスの種類と特性
SUS304
一般的で最も幅広く使用
ニッケルとクロムが含まれ、耐腐食性・加工性ともバランス良し
キッチン、配管、家電フレームなど
SUS430
クロム系、安価で磁性あり
耐熱性・加工性に優れるが、耐食性はSUS304よりやや低い
家電・建材・自動車部品など
SUS310
高温環境(1,000℃以上)でも酸化しにくい
焼却炉・熱交換器・耐熱部品
加工性は304よりやや劣る
SUS316
ニッケルに加えモリブデンを添加、塩素耐性に優れる
海水周り・化学プラント・高級キッチン・医療機器
精密加工にも対応可能
板厚による加工の違い
板厚が加工に与える影響
薄板(1〜3mm):高速で微細にカット可能。オーバーカットや熱影響も最小化
中厚(4〜9mm):切断速度がやや落ちるが強度・精度十分
厚板(10mm以上〜最大30mm):高出力ファイバーレーザーで加工。切断面の仕上げやバリ管理が重要
各厚さに適した加工方法
薄板:ファイバーレーザー+N2(窒素)アシスト
厚板:CO2または高出力ファイバー+O2(酸素)アシスト
加工時間は板厚に応じて変化します。最適条件・機器選定と生産計画が鍵です。
レーザー加工機の種類と機能
ファイバーレーザー加工機
高効率加工:エネルギーロス少なく高速
メンテナンス容易:定期交換部品が少ない
多様な材料に対応:鉄、アルミ、ステンレス、銅まで
CO2レーザー加工機
非金属や厚板カットに強み
ガス交換やメンテナンスに留意
用途に応じた選択が重要です。精密金属ならファイバーレーザー、非金属+デザイン重視ならCO2レーザーが最適。
アシストガスの役割と種類
窒素(N2):酸化防止、薄板・美観重視
酸素(O2):酸化反応を活用、厚板向き
ガス選定によって切断面の仕上げや速度が変化します。最適化が成功の鍵です。
ステンレス加工の実績と事例
医療機器向けカートパネル
高級店舗什器用パネル・サインフレーム
工場用装置フレーム
複雑形状や細穴加工も含め、CAD図面から一貫生産可能。精度・歩留まり・納期管理が強みです。
まとめ
ステンレスのレーザー加工は、**“高精度×速さ×柔軟性”**を実現する技術です。
材料特性に応じた機械選定、温度・品質管理の徹底、最適工程の構築が高付加価値加工のポイント。
株式会社ファイネスでは、板金加工・機械加工から装置組立までを埼玉県飯能市の自社工場で一貫生産。
お客様のニーズに応じた最適ソリューションをご提供いたします。
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