ステンレス加工の基礎知識と技術解説―特徴・メリット・実例まで徹底紹介!
ステンレス加工の基礎知識
ステンレス鋼(SUS)の概要と特徴
ステンレス鋼は、現代産業社会において欠かせない金属材料のひとつです。概要として、ステンレス鋼(SUS)は鉄にクロムを主成分とした合金で、一般的にクロムの含有量が11%以上の鋼を「ステンレス鋼」と呼びます。クロムは酸化皮膜を形成し、これが鉄の表面を保護することから、**耐食性(錆びにくさ)**が非常に高いという特性を持っています。
一般的な特性・性質
耐食性に優れる:水や空気、薬品などに対して錆びにくい
耐熱性が高い:高温環境下でも性質が安定
強度・硬度が高い(種類による)
熱伝導率が低い:鉄やアルミに比べ加熱で局所的に熱が溜まりやすい
美しい光沢:衛生的で清掃しやすい
これらの特性は、医療や食品、建築など多岐にわたる用途を支えています。
SUSの種類と材質ごとの用途
SUS304(オーステナイト系)
特徴:耐食性・耐熱性ともに高く、成形性や溶接性も良好
用途:厨房機器、医療器具、建築部材、自動車部品などSUS316(オーステナイト系)
特徴:モリブデン添加で塩素や酸への耐性向上
用途:化学プラント、船舶・海洋構造物、医療用インプラントSUS430(フェライト系)
特徴:クロム主体で低価格、磁性を持つ
用途:キッチンシンク、家庭用家電、内装部品SUS410(マルテンサイト系)
特徴:高硬度・耐摩耗性に優れるが耐食性はやや低下
用途:刃物、バルブ、シャフト類
材質選定は用途・目的・コストによって変わり、製品性能や仕上がりにも影響します。
熱伝導率の違いと金属構造
SUS304:約16 W/mK
アルミ:約236 W/mK
熱伝導率が低いため、加熱や加工時に局所的な熱が溜まりやすく、結晶構造や添加元素の違いが加工性・硬度・耐食性に影響します。
ステンレス加工のメリットと用途
ステンレス加工のメリット
高耐熱性:調理や高温プロセスでも変質しにくい
優れた耐食性:水まわりや屋外でも長寿命
美しい表面:保護力と意匠性を両立
メンテナンス性良好:汚れが付きにくく長持ち
加工品の具体的な利用例
厨房・食品加工:シンク、作業台、調理器具
建築:手すり、外装パネル、カーテンウォール
自動車:排気系部品、トリム部品
医療:手術用器具、治療機器
産業機械:輸送用設備、タンク、パイプ
家庭用品:キッチンシンク、ハサミ、カトラリー
ステンレスを用いる目的
加工品の付加価値向上
ライフサイクルコスト低減
衛生基準が厳しい業界でも安定した性能
美観重視の建材分野での効率的運用
ステンレス加工が難しい理由
加工が難しい根本的な理由
高強度・硬度で「削りにくい」「曲げにくい」
高温で性質が変化しやすく熱変形や加工硬化が発生
合金元素の影響で刃物摩耗が早い
低熱伝導率で熱が一点集中しやすく、バリ・焼け・反りが発生
高品質に仕上げるための条件
加工条件(切削速度・送り・クーラント)を厳格管理
機械装置や刃具の剛性・耐摩耗性が必須
熱膨張や熱影響部の材質変化に対応
ステンレス加工の方法と技術
主な加工方法と特徴
加工方法 | 特徴/用途 | 注意点 |
---|---|---|
フライス加工 | 部品平面の切削・溝加工 | 刃具・送り速度・温度管理 |
プレス加工 | 板の曲げ・打ち抜き多数の大量生産 | 荷重・型の精度・摩耗 |
レーザー加工 | 微細形状・表面カットに最適 | 熱伝導性・切断幅管理 |
溶接加工 | 部品同士の結合 | 熱処理と冷却バランス |
表面処理 | 研磨・バフ仕上げ | 粒度・作業者熟練度 |
曲げ加工 | パイプや板金の成形 | 内R管理・割れやすい部位 |
切断、曲げ、機械加工の詳細
機械切断(シャーリング・NCパンチ):大量生産向き、切断面仕上げが鍵
レーザー/プラズマカット:厚板・薄板対応、熱影響に注意
曲げ加工:R(曲げ半径)に応じたプレス・ロールベンダー使用、反発・割れ対策が必須
機械加工:フライス・旋盤・ボール盤、精度はミクロン単位で管理
工具選定の重要性
摩耗・焼き付き・カジリ対策の刃具選定が命
切削用:超硬エンドミル・特殊コーティング刃物
穴あけ加工:ハイスドリル・コバルト合金ドリル
研磨:バフ・ナイロンホイール・ジルコニア砥石
ステンレス加工の実績と事例
医療用機器部品:SUS316使用、耐食性と高度機械加工を両立
厨房・建築向けカバー:SUS304ヘアライン仕上げ、1000枚ロット対応
工場設備部品:厚板SUS400番台プレート、精密切断・組立・検査一貫対応
成功のポイント
測定誤差±0.01mm以内
難しい部品や新素材・形状にも対応
高精度・安定した加工品質
ステンレス加工の課題と解決策
課題:溶接熱影響、加工硬化、表面品質要求、工具摩耗
解決策:適切な処理条件、表面処理、マルテンサイト鋼採用、NC制御・高精度測定
ステンレス加工を提供する会社の選び方
実績・技術水準:難加工や多品種少量生産に強いか
提案・設計サポート:工程相談・コスト低減提案可
生産体制・検査設備:最新旋盤・NC機器・クリーンルーム
材料調達力:多様なSUS・アルミ・クロム系材質に対応
情報公開性:設備・工程・事例が公開されているか
相談時のポイント
仕様・用途・図面・目的を詳細に伝える
他社比較表やサンプル請求
材質指定(クロム含有率、系統など)を伝える
情報源&信頼できる会社
自社サイトで加工事例・設備を公開
相談フォームがわかりやすい
工場見学やカタログダウンロード可能
業界団体で評判を確認
まとめ
ステンレス鋼(SUS)加工は専門性が高く、製品づくりには
材質ごとの特性理解
適切な加工方法・設備選定
経験に裏打ちされたノウハウ
が不可欠です。
株式会社ファイネスでは、ステンレスをはじめとする板金加工・機械加工から装置組立までを埼玉県飯能市にある自社工場で一貫生産体制を確立し、品質・納期・コストのすべてで最適ソリューションを提供しています。