食品機器設計における衛生性と効率性の両立~HACCP対応設計のポイントと実装技術~
食品機器の設計では、「衛生性」と「効率性」をいかに両立させるかが最大のテーマです。
HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Points)に準拠した設計は、食品の安全を確保しつつ、生産現場の効率を最大化するための鍵を握ります。
本記事では、HACCP対応設計の基本から、具体的な実装技術、事例、そして品質・コストの最適化までを解説します。
衛生設計の基本原則
食品機器の衛生性は「清掃性」「素材」「構造」によって大きく左右されます。
洗浄しやすい構造設計
食品が直接触れる部分には、汚れが溜まりにくく洗浄しやすい設計が求められます。
デッドスペースを極力排除し、角部には適切なRを設け、溶接部は平滑に仕上げることで細菌繁殖を防止。
衛生設計の第一歩は、「汚れを残さない構造」を実現することです。
材料選定の重要性
ステンレス鋼(SUS304、SUS316Lなど)は、耐食性と衛生性を両立できる理想的な素材です。
食品と接触する部分は、食品衛生法に適合した材料を使用し、表面粗さRa≦0.8μm以下の滑らかな仕上げを施します。
分解・組立性の考慮
日常の清掃や点検を容易にするため、工具を使わずに分解できる構造や、CIP(定置洗浄)対応設計を採用。
これにより清掃時間を短縮し、衛生管理と生産効率を両立できます。
効率性向上のアプローチ
HACCP対応設計では、衛生性に加えて「生産効率」も重視すべき要素です。
生産性を重視した設計
作業動線を短くし、材料や部品の流れを最適化することで、製造全体のスループットを向上。
衛生を保ちながらも「スピードと安定性」を両立させる設計が理想です。
メンテナンス性の向上
点検や清掃のたびに時間をかけて分解していては、生産性が落ちてしまいます。
重要部品に容易にアクセスできる構造や交換のしやすさを考慮することで、ダウンタイムを最小限に抑えます。
HACCP対応の実装技術
危害要因分析への対応
物理的・化学的・生物学的な危害を未然に防ぐため、設計段階からリスクを分析。
装置の材質・溶接・排水設計など、あらゆる部分で「衛生的リスクをゼロに近づける工夫」を行います。
重要管理点(CCP)の設定支援
温度や時間、pHなど、重要な管理点が正確に記録・制御できるよう、センサーや制御システムを設計段階から統合します。
具体的な設計事例
食品搬送コンベア
ベルト材質:FDA承認ポリウレタンベルト
フレーム:SUS304製・溶接部研磨仕上げ
清掃機能:自動洗浄ノズル付き
分解性:工具レス構造でメンテナンス性抜群
混合タンク
本体:SUS316L製・内面#400研磨仕上げ
攪拌翼:取り外し可能構造
洗浄:CIPスプレーボール内蔵
排水:完全排水構造で衛生リスクを排除
これらの事例からも、「衛生性」と「効率性」を高次元で両立させた設計の重要性がわかります。
品質管理とコスト最適化
高品質な食品機器を実現するには、設計段階からの品質管理が不可欠です。
3D CADによる設計、有限要素解析による強度検証、試作による性能テストを経て量産へ移行することで、信頼性の高い製品が生まれます。
また、ライフサイクルコストを意識した設計により、初期コストと運用コストのバランスを最適化。
長寿命・メンテナンス性の高い構造を追求することで、長期的なコスト削減を実現します。
まとめ
食品機器設計において「衛生性」と「効率性」を両立することは容易ではありません。
しかし、HACCPの考え方を設計段階から取り入れ、衛生構造・素材・効率設計をトータルで最適化することで、
安全かつ高効率な生産環境を構築することが可能です。
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