多段曲げ加工の技術と実践
多段曲げ加工に使用する機械とその機能
多軸プレスブレーキ
3~6軸独立制御のサーボモーター駆動型
各軸のストローク・角度をプログラムで一括管理
チャック固定式でワークの再セット不要
ロールフォーミングマシン
連続プレスロールで曲げステーションを複数並設
大量生産に強く、板厚変更はロール交換で対応
ロボット自動化セル
多関節ロボットによるワークハンドリング
画像検査システムと連動した自動バリ取り機能
使用時の注意点:機械稼働前の潤滑・クリーニング、油圧/空圧系統の点検を怠らず、安全ガードを常時閉めた状態で運用してください。
金型の選定とR曲げの標準金型
多段曲げ専用金型は上型(パンチ)と下型(ダイ)で構成され、角度やR(曲げ半径)に応じて数十種類が用意されます。
R1.0~R3.0:薄板曲げ用標準金型
R5.0~R10.0:中厚板のスプリングバック補正金型
特殊形状用:Vカットダイ形状、Uノッチ加工併用金型
選定基準は、板厚と材質、最小曲げ半径、角度精度、チャック幅制限です。例えば、ステンレス鋼板2.0tにはR2.0金型が適用でき、スプリングバック補正を見越した金型選定がカギとなります。
多段曲げ加工における設計の注意点
曲げ順序設計:干渉を防ぐため、深い凹部→浅い凹部→突出形状の順で曲げを配置
スプリングバック補正:材質別バネ戻り量を考慮し、角度設計時に+α度を予め設定
板端部の逃げ設計:曲げ金型のクランプ側と逃げ側を確保し、割れ・皴寄りを回避
設計検証:CAD/CAMシミュレータで展開図から曲げ後形状を3D検証
これら設計ポイントを守ることで、初回試作から量産まで安定した精度を維持可能です。
材料別の曲げデータ参考値と加工サンプル
主要材料ごとの参考曲げ条件は下表の通りです。実際の製作ではマシン特性・金型状態により若干の調整が必要です。
冷間圧延鋼板(SPCC 1.6t):外曲げ半径R1.6、押込み深さ0.8t、速度30mm/s
ステンレス鋼板(SUS304 2.0t):外曲げ半径R2.0、押込み深さ0.9t、速度20mm/s
アルミ合金(A5052 3.0t):外曲げ半径R3.0、押込み深さ1.0t、速度25mm/s
加工サンプル写真:
90°×4段多段曲げ部品(食品装置用ガイド)
Z形状多段曲げパネル(制御盤カバー用)
材料・材質ごとに気軽にご相談いただければ、最適な曲げデータをご提供します。
多段曲げ加工のコストダウン手法と品質向上ポイント
コストダウン手法
多品種少量時は金型共用設計で工具費削減
ロボット自動化セルで人件費を10~20%圧縮
切断→曲げ→溶接ラインを一括契約し調達コストを抑制
品質向上ポイント
金型表面にCVD処理を施し、摩耗耐性・寿命を延長
材料納入時にロット追跡管理し、板厚・硬度のばらつきを排除
角度測定器・3Dスキャナー定期校正で加工精度を維持
実例として、当社では多段曲げセル導入後、品質クレームゼロ・リードタイム30%短縮を同時に達成しました。
株式会社ファイネスでは、ステンレスをはじめとする板金加工・機械加工から装置組立までを埼玉県飯能市にある自社工場で一貫生産体制を確立し、品質・納期・コストのすべてでお客様にご満足いただける最適ソリューションをご提供しています。
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